見前歯科クリニック

Q&A

1歳6か月健診で、上の前歯にむし歯があるといわれました。
歯磨きを嫌がるので、あまりしていません。
むし歯はどうしてできるのでしょうか。

 むし歯は高血圧や糖尿病と同じように生活習慣が関係していると考えられています。1歳6か月でむし歯が発生したことを考えると、むし歯になりやすい生活習慣から抜け出すことが必要です。むし歯ができる原因の中からとくにお母さんに知ってもらいたい点について説明します。

 子供が生まれたときは、口の中にむし歯菌はいません。では、どこから入って来るのでしょう。お子さんのむし歯菌はお母さんのむし歯菌が侵入してきたもので、家族内感染です。それも生後11か月から34か月の間に侵入してくることがわかっています。また、お母さんの口の中にむし歯があり、むし歯菌の量が多いと、早い時期にお子さんの口の中に入って増えはじめることもわかっています。むし歯菌が早く入ってくればくるほど子供が重症のむし歯なることも知られています。母親の口の中の状態が子供のむし歯に大きく影響してくることを知ってください。

 子供の口の中に進入したむし歯菌にとって居心地がよくなければ、あまり増えません。むし歯菌はショ糖というお砂糖が大好きです。お砂糖があれば、どんどん増えていきます。生後34か月まではお砂糖の制限が必要です。また、増えたむし歯菌を除去するために、8歳までは仕上げ磨きが必要となります。就寝前の仕上げ磨きと糸ようじの使用が大切です。
 お口の中にもむし歯を防ぐ働きがあります。その重要な役目を担っているのが唾液です。唾液の質と量は、アレルギーなどの薬やストレスなどでも低下することが知られています。日常生活の中でも唾液の質と量を高める工夫が必要です。食事のとき良くかむこと、家族でよく会話すること、指を良く動かすことが重要であると考えています。

 以上について、お母さんが注意してください。何か気になることがあれば、まず「かかりつけ歯科医」と相談することです。

2歳になる子供の前歯に、むし歯ができました。
子供のむし歯はどうすればよいのですか。

これだけ医学が進歩しているにもかかわらず、むし歯についてはまだわからないことが多くあります。むし歯の予防はむし歯菌の量を減らすこと、歯質を丈夫にすることにつきます。

@むし歯菌(プラーク)を機械的に除去する。
 子供だけでの歯ブラシでは、プラークの除去は困難です。就寝前のお母さんの仕上げ磨きと糸ようじが有効です。各々の年齢でむし歯になりやすい部位が決まっているので、その部位を中心にお母さんは仕上げ磨きをしてください。

Aむし歯菌の増殖を防ぐ。
 むし歯菌はショ糖を材料にして歯の表面に付着して増えていき、各々の子供の口の中の量が生後11ヶ月から34ヶ月の間に決まります。この時期、むし歯菌を増やさないためにもショ糖の制限が必要になります。ショ糖はジュースやお菓子などに多く含まれています。100%ジュースの中にもショ糖が添加されているものがあることを知ってください。フッ素の使用やキシリトールガムもむし歯菌の増殖を抑制する作用があります。しかし、とりすぎによる害も報告されていますので、利用については「かかりつけ歯科医」に相談してください。

Bむし歯になりにくい口の中の状態にする。
 歯は萌出してから2〜3年はむし歯になりやすいです。フッ素の使用によって歯質をむし歯になりにくい結晶構造に変化することが知られています。
 奥歯の溝もむし歯になりやすい部位です。溝はプラークがたまりやすく、歯ブラシしにくい場所です。樹脂のようなものを溝に流し込んで、むし歯を防ぐ「シーラント」も有効です。また、お母さんがむし歯、甘いものに神経質にならないことです。そのことが子供にストレスになって唾液の質・量が低下することがあります。唾液にもむし歯を防いだり、歯質を強化する働きがあります。何でも話し合える家族環境により、子供のストレスを逃がしたり、ストレスから守ってやるように心がけてください。また、薬物によってむし歯菌を除去する「除菌」というむし歯予防法が実用化に向けて研究されています。
 子供のむし歯予防は長期的・計画的管理が必要です。専門家である「かかりつけ歯科医」と二人三極で頑張ることが必要です。